アメリカでは子育てに関する法律や常識が日本と異なります。 なかでも児童虐待に関する見方はかなり厳しいので、よく理解しておきましょう。 また、アメリカの学校は自由というイメージですが、実際にはさまざまな校則が存在します。
※このページは「ライトハウス全米版 2026年春夏の増刊号」掲載の情報を基に作成・更新しています。
日本より厳しい児童虐待に対する認識
児童虐待には、肉体的、性的、精神的虐待、養育の拒否などがあります。多種多様な文化が共存するため、親子での入浴も誤解を招く可能性があるため、注意が必要です。
特に気を付けたいのが児童遺棄。例えばカリフォルニア州では、6歳以下の子どもを12歳以上の監視がない状況で一人で車中に放置してはいけません(鍵が付いたまま、エンジンがかかったまま、またはその両方の場合や、子どもの健康や安全を重大な危険に晒す状況である場合)。また、緊急時の対応ができる年齢になるまでは、子どもだけで留守番をさせてはいけません(具体的に何歳までを「子ども」とするかは発育状況によっても異なるため、一概には言えません)。さらに、子どもが英語を話せない場合、場合によっては緊急時に周囲とコミュニケーションが取れないと判断される可能性があり、注意が必要です。
アメリカでは子どもに精神的・肉体的トラウマを残すような体罰を与えることは「しつけ/教育」ではなく、「虐待」と見なされます。人前で怒鳴ったり、子どもの前で親同士がけんかをしたりすることも心理的な威圧として虐待に含まれます。
なお、これらの虐待行為を知った場合は、警察や児童施設に通報(Childhelp National Child Abuse Hotline・☎1-800-422-4453)したほうが良いでしょう。医療、教育関係者、児童福祉関連施設の職員など多くの専門職種の人たちが、職務上虐待の疑いを感じたら通報するよう法律で義務付けられています。
通報あると児童保護機関が調査を行います。状況によっては、ソーシャルワーカーが家庭を訪問して子どもの安全を確認することがあります。例えば、子どもをお店で大きな声で叱っただけで通報され、調査を受けるというのは、日本人の教育慣習からすると納得いかないかもしれません。しかし、アメリカでは些細な行為でも、疑わしき行為は早いうちに調査し、深刻な問題が起こる前に虐待の芽は摘み取る、という文化が根付いています。
調査の結果、子どもが危険に晒されていると判断されると、保護され、両親は裁判所に出廷を命じられます。裁判で児童虐待の事実が認められると、裁判所の警告や指示に従い、裁判所の指定の場所でカウンセリングを受けます。児童虐待は家族法の下、親権を剥奪されることは稀ですが、犯罪法では罰せられます。
なお、近年、国際結婚の夫婦間で問題となっているのが子どもの連れ去りです。国境を越えて不法に連れ去られた子どもの返還や面会交流を確保するための「ハーグ条約」により、たとえ実子であっても共同親権を持つアメリカ人の配偶者の同意を得ず、日本人の親が日本に連れて帰ると「拉致」と見なされ、誘拐罪で国際指名手配される恐れがあります。特に別居中、離婚申請中の場合は、たとえ州外であってもこうした事情にも注意しましょう。
子どもの校則違反は保護者の責任に
学校に関する法律は、州の教育法に基づいて各学校区で指針が設けられ、それに沿って校則が決められています。校則は毎年見直され、年度の始まりには新しい校則のハンドブックが配布されたり、学校のウェブサイトで案内されたりします。保護者は校則や学校方針の通知に確認のサインを求められることが多く、家庭でも子どもが校則を守るよう注意することが求められます。
薬物に関する校則は多くのアメリカの学校において厳しく、常備薬や風邪薬でも届け出をしていなければ違法薬物とされることも。地域や学校によって氏名や担当医の名前を明記した薬を保護者が保健室に届けるなどのルールがあります。銃に関しても敏感で、銃を模したキーホルダーすら違反となることもあるため、注意しましょう。
また、カリフォルニア州では、子どもが学校を欠席することに関して厳しい法律が設定されています。無断欠席が続くと学校や学区から保護者に連絡が入り、面談や支援プログラムへの参加を求められることがあります。
「ゼロ・トレランス」という生活指導方針も日本とは大きく違うため、我々在米邦人にとっては注意が必要です。
同方針の骨子は、
①銃刀および武器になり得る物(例えば鉛筆削り用のナイフ)、その模倣品
②暴力、脅迫行為、反抗的な行為・態度
③薬物・タバコ・アルコール
の3つを学内から排除することです。
学校生活に不適切な服装(ギャングスタイルの服装など)、人種差別用語やその他不適切な表現の使用を校則違反とする学校もあります。校則で禁止されている物を友人からもらい、それを持っていただけでも違反となります。
単一民族国家の日本とは異なり、アメリカはさまざまな人種と共存する社会であるからこそ、他文化を敬う態度を持ち、肌や目の色が異なる学友たちと共に学び、遊ぶことができるよう、保護者が日頃から積極的に教育に関与していくことが重要です。
校則を含めた現地校のシステムに関する情報、いじめに関する相談などは、日系の非営利団体、JERC日米教育サポートセンター(https://www.jerc.org / office@jerc.org)が日本語で受け付けています。いじめ相談は、月〜土曜日まで24時間受け付けています(☎ 310-502-3603)。日本人子女と保護者に対する教育のサポートを中心に積極的な活動を行っているので、気軽に相談してみましょう。
監修/戸木亮輔弁護士(https://togilaw.com/)

